2011年5月1日日曜日

東電供給力の一考察 その3

3.東電発表能力との比較

次に視点を変えて、東電側は現在の供給力をどう見ているのかをチェックしてみたい

と思う。

東電が3月12日より発表している供給力は毎日のように変化しており、3月12日に

3700万kwであったものが、15日には3300万kwに減り、その後少しづつ増え、3月24

日には3850万kwに達した。24日以降は日によって多少の上下はあるものの大きな

変化は見られなかったが、4月5日に初めて4000万kwを記録、11日にはこれまでの

最高の4250万kwとなった。しかしその後毎日上下し、低い方では29,30日(祝日、土)

に3400万kw、高い方では4150万kw程度を示している。

常識的に考えれば、施設の故障、損壊などがなければ、供給力というものはそんな

に毎日上下することは考えにくい。それなのに毎日の需要予測に合わせるかのよう

に供給力が上下するのは一体なぜなのか。

結論から言えば、おそらく平日日中の需要ピーク時に備えて前日までに揚水発電に

よってある程度予備電源を確保しているからではないかと推測される。これは月曜日

の供給力がどの週もほとんど最高レベルになっていることからも伺える。すなわち

土、日の需要が少ない間に余剰電力を使って週明けの需要増に備えていると思わ

れるからである。

東電の言う供給力の定義ははっきり示されてはいないが、その日のピーク時におけ

る最大供給力(おそらく1時間)であり、一日中この供給が継続できるわけではない。

後で詳しく説明するが、揚水発電は長期間に渡って継続的に発電できるわけではな

いので、ピーク時に焦点を当てて、まさにピークシェイビングする手段として使われて

いる。

では東電は現在どの程度の揚水発電を用意しているのか。

3月25日に東電が発表したプレスリリースによれば、揚水を含まない供給力は3650

万kw、含んだ供給力は3850万kwとしている。すなわち200万kwが揚水発電である。

その後4月の初めまではほぼこの供給力(3850万kw)で推移し、4月に入って鹿島火

力が相次いで復旧した(8日までに計220万kw復旧)ことにより、ほぼ4100万kw程度

の供給力を確保、当面の供給危機を脱した。こうした状況の中、計画停電は3月28

日(月)を最後に中止されている。その間おそらく揚水発電能力の見込みがかなり

立ったものと見られ、4月15日のプレスリリースでは7月末までの供給力に400万kw

の揚水発電能力を織り込んでいる。

現在は推定で約3900万kw程度のベース能力プラス最大300万kw程度の揚水を確保

しているのではないかと思われる(計4200万kw)。

しかし、私の現能力の推定は上述したように揚水発電を除いて、4103.5~4148.3


万kwであるので、これに揚水発電分300万kwを加えると4400から4450万kw程度

となり、東電の供給力はかなり控えめということになる。もちろん稼働率その他を考

えれば、東電としてはかなり余力を持っておきたいのは当然であろうが。

(続く)                     110508、110520 一部数字更新。

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