2011年5月3日火曜日

東電供給力の一考察 その6 (結)

6.結論

ここまで東電の公表数字を中心に見てきたが、残念ながら、積み上げのための詳細情報を示さないので、十分な精査が出来ないのが実態である。とにかく東電の秘密主義は異常で、最近は自社の発電設備能力のデータや発電所一覧ですらホームページから抹消するという念の入れようである。もちろん各発電所の操業状況などは大震災で被災したもの以外はほとんど情報がなく、照会にも一切応じない。消費者の目を気にする一般の私企業では考えられないことで、さすが地域独占のカルテル企業だけのことはある。

当初この考察を始めたきっかけは言うまでもなく、東電の供給力を検証することであった。しかし、もし東電がきちんと詳細を明らかにして、実情がこうなのでぜひ理解、協力して欲しいと説明すれば、事足りることである。結局この考察の結果、本当の危機は今夏東電の電力供給に生じる危機ではなく、東電の情報隠蔽体質が作り出す危機であるということが明白になった。

結局は地域独占、発電・送電・配電支配(とりわけ送電)、総括原価主義などが今日の九電力の硬直的、官僚的寡占体質を作り上げてきた事実をきちんと総括し直すことから出発しなければならない。その上で、より自由で、競争的で、コスト概念のしっかり反映された、真に公共性の高い平等なシステムを構築しなければならないという結論にならざるを得ない。それには高い政治性が求められるが、今の菅政権には望むべくもない。


以上                            110503記

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