2011年7月19日火曜日

東電の最大電力需要量は5000万kwに届くか 第2弾

前回、東京の最高温度が30度を超えた日の東電最大電力需要量実績を前年と比較する手法によって、今夏の最大需要量を予測してみた。

今回は別の方法で最大需要を予測してみよう。

その手法は前回と同じく、6月1日から9月末までを対象期間として(本年は7月16日まで)一日の最大需要量をその日の最高温度で割って、温度1度当たりの需要量を計算してみようというものである。

これを日々計算し、以下の期間の平均を取ってみると、次のようになる。ただし需要量の減る土,日、祝祭日は除いてある。

2010年6月1日~7月16日         161.8万kw/1℃
2010年6月1日~7月31日         163.0万kw/1℃
2010年6月1日~9月30日         164.9万kw/1℃
2010年7月1日~8月31日         164.5万kw/1℃
2010年7月1日~9月30日                      166.4万kw/1℃
2010年7月1日~7月31日                      165.6万kw/1℃

2011年6月1日~7月16日           140.6万kw/1℃
2011年7月1日~7月16日          133.3万kw/1℃

この数字を使って、今後最高温度がどれだけ上がったら最大需要量がどの程度になるかを試算してみよう。

まず最初に1℃上がった時の需要量の増加度合いを昨年と、本年で比較してみよう。
6/1~7/16で比較すると140.6対161.8で、削減率は13.1%。これを昨年の最大需要量5999万kwに掛けると5213万kwとなる。昨年の数値を6/1~7/31に置き換えると、140.6対163.0となり、削減率13.7%、5175万kwになる。昨年の数値を6/1~9/30の164.9万に変えると、削減率は14.7%。5999万に対し、5115万kwとなる。7/1~9/30の166.4万を使うと、15.5%減で、5069万kw。
結局13.1~15.5%、5069~5213万kw、大雑把に言って、13~15%減、5100~5200万kw

7月だけの数字(2010年は1~31日、2011年は1~16日)で比較すると、ちょっと驚く。
165.6万対133.3万で、何と削減率は19.5%。5999万に対して4829万kwとなる。今年の最大需要量は7/15の4627万kwなので、あとわずか200万kw程度となる。気の小さい私としては、いくらなんでもこれはちょっと低すぎるように思うが、一応推定値の幅の下限としておく。

6-7月の比較と7月の比較でかなり違いが出た理由は最高温度のグラフを見てみると分かる。昨年は6月初めから7月中旬までなだらかに上昇し、7月下旬になって急上昇している。これに対し本年は6月中旬までは比較的低温で20日過ぎから急上昇、7月に入ってからは2日僅かに切った以外連日30度を超える猛暑となった。温度が急変動する時はどうしても1℃当たりの需要量は大きくなるが、高原状態になると需要の増減は温度変化に対して鈍くなる。そのため昨年は6月より7月の方が係数が高くなった(6月160.6、7月165.6)。一方、本年は6月144.3、7月133.3と見事に逆現象となっているのはこのためであろう。したがって、やはり6~7月の平均で比較するのが平準化する意味でも、より現実的ではないかと思う。

次に、単純に1℃当たりの需要量に温度を掛けてみよう。

ずばり、昨年8月17日に記録した最高温度37.2度に今年の6/1~7/16の140.6万を掛けてみると、5230万kw。7月平均の133.3万だと4959万kwまで落ちる。5000~5200万kwといったところか。

ちなみに、この最高温度に昨年の6/1~7/16の161.8万を掛けると6019万kw。昨年の最大需要量の5999万kwとは僅か20万kwしか違わない。もっとも、同日の最大需要は5887万kwまでしか上がっておらず、これよりは130万kw余り多い。逆にその最大需要量5999万kwを記録した日(7/23)の最高温度は35.7度。言うまでもないが、需要量のピークを記録するのは、その日の温度だけがすべてではない。厳密な試算をやろうと思えば、風、湿度、過去数日間の気象状況、個人、企業活動状況等々さまざまなファクターを考慮しなければならない。ここは思いつき程度の試算だと思ってお付き合いいただこう。

さてまた余計な話になってしまったので、先に進めよう。

今度は温度の方から攻めてみたい。
今年の最高温度が何度になったら最大需要量はどのくらいまでいくのかを予測してみる。
その結果を次に示す。

(単位:万kw)                  35℃    37℃    39℃     40℃  
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃)   5051         5339           5628           5772
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃)    4922         5203           5484           5625
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃)    4664          4931          5198           5331

この結果から見ても、本年の最高温度が39度以上という猛暑にならない限り、東電の予測する5500万kwの最大需要量に達することはあるまい。昨年並み37度でも5200万kw程度、下手をすると5000万kwにも届かないかもしれない。ましてや35℃止まりなら、確実に5000万kwを下回るということになる。今年はすでに6月29日に35.1度を記録しているが、同日の最大需要は4571万kwであった。

最後に東電の出している最大需要予測量5500万kwと昨年の最大需要量の5999万kwに達するとしたら、最高温度はどのくらいになるかを計算してみよう。

                             5500万kw              5999万kw

2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃)                 38.1℃       41.6℃
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃)                  39.1℃                  42.7℃            
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃)                  41.3℃                  45.0℃

以上から見ても明らかな通り、少なくとも38度を越えないと5500万kwには達しないし、5999万kwは41度でも届かないことになる。このことからも東電が需要予測を大幅に下方修正せざるをえないのは時間の問題と言える。早ければ今週末にも修正を発表するのではないか。

ここまで見てきたように、今回の予測手法での結論は、今年の最大需要量は多くても5200万kw程度、温度次第では5000万kwを切ることも十分考えられるということになった。

前回の予測と比べてどうであろうか。今回は上限がやや高く出た感はあるが、概ね5200万~5000万kw弱の範囲に収まったように思う。
今後も推移を見守っていくつもりなので、逐次ご報告できると思う。



<参考>大雑把な感触をつかんでもらうにはグラフの方が分かりやすいかもしれない。細かい数値を見るのは困難だが、以下に示す。


左クリックで拡大されます。

0 件のコメント:

コメントを投稿