次に、7月19日の「東電の最大電力需要量は5000万kwに届くか 第2弾」のデータ更新を行ってみよう。
その手法は前回と同じく、6月1日から9月末までを対象期間として(本年は7月31日まで)一日の最大需要量をその日の最高温度で割った、温度1度当たりの需要量を使った需要予測である。(需要量の減る土,日、祝祭日は除いてある。)
その基本となるデータは次の通り。
2010年6月1日~7月31日 163.0万kw/1℃
2010年6月1日~9月30日 164.9万kw/1℃
2010年7月1日~7月31日 165.6万kw/1℃
2010年7月1日~8月31日 164.5万kw/1℃
2010年7月1日~9月30日 166.4万kw/1℃
2011年6月1日~7月31日 139.5万kw/1℃
2011年7月1日~7月31日 134.2万kw/1℃
(参考)前回データ
2010年6月1日~7月16日 161.8万kw/1℃
2011年6月1日~7月16日 140.6万kw/1℃
2011年7月1日~7月16日 133.3万kw/1℃
ではこれを使って前回の予測の更新を行ってみよう。
(1)1℃当たりの需要量増減の比較
まず最初に1℃上下した時の需要量の増減度合いを昨年と、本年で比較してみよう。
2011/2010 削減率% 5999×(100-削減率%)
6月1日~7月31日 139.5/163.0 14.4% 5135万kw
同上(対10/6/1~9/30) 139.5/166.4 15.4% 5075
7月1日~31日 134.2/165.6 19.0% 4862
(参考)前回データ
2011/2010 削減率% 5999×(100-削減率%)
6月1日~7月16日 140.6/161.8 13.1% 5213万kw
同上(対10/6/1~9/30) 140.6/164.9 14.7% 5115
7月1日~16日 133.3/161.8 17.6% 4942
同上(対10/7/1~7/31) 133.3/165.6 19.5% 4829
削減率はかなり大きな幅が出たが、需要予測としては4900~5100万kwの範囲であろうか。
前回「7月だけの数字(2010年は1~31日、2011年は1~16日)で比較した4829万kwの予測値は、今年の最大需要量が7/15の4627万kwなので、あとわずか200万kw程度となる。気の小さい私としては、いくらなんでもこれはちょっと低すぎるように思うが、一応推定値の幅の下限」と書いたが、どうやらこの数値も現実味を帯びてきた。猛暑が来ないと「7/15の4627万kw」が今年の最大需要量で終わることさえもありうるのではないか。今回はちょっと強気(?)
(2)1℃当たりの需要量に最高温度を掛ける
ずばり、昨年8月17日に記録した最高温度37.2度に今年の6/1~7/31の139.5万を掛けてみると、5189万kw。7月平均の134.2万だと4992万kwまで落ちる。5000~5200万kwといったところか。
この場合、前回の予測とそれほど違いはない。
(3)最高温度から見た需要予測
今度は温度の方から攻めてみたい。
今年の最高温度が何度になったら最大需要量はどのくらいまでいくのかを予測してみる。
その結果を次に示す。
(単位:万kw) 35℃ 37℃ 39℃ 40℃
2011/6/1~7/31(139.5万kw/1℃) 4883 5162 5441 5580
2011/7/1~7/31(134.2万kw/1℃) 4697 4965 5234 5368
(参考)前回データ
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 5051 5339 5628 5772
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 4922 5203 5484 5625
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 4664 4931 5198 5331
この結果から見ても、本年の最高温度が39度を超えたとしても、東電の予測する5500万kwの最大需要量に達することはあるまい。昨年並み37度でも5200万kw弱、下手をすると5000万kwにも届かないかもしれない。ましてや35℃止まりなら、確実に5000万kwを下回るということになる。今年はすでに6月29日に35.1度を記録しているが、同日の最大需要は4571万kwであった。
最後に東電の出している最大需要予測量5500万kwと昨年の最大需要量の5999万kwに達するとしたら、最高温度はどのくらいになるかを計算してみよう。
(単位:万kw) 5000万kw 5500万kw 5999万kw
2011/6/1~7/31(139.5万kw/1℃) 35.8℃ 39.4℃ 43.0℃
2011/7/1~7/31(134.2万kw/1℃) 37.3℃ 41.0℃ 44.7℃
(参考)前回データ
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 38.1℃ 41.6℃
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 39.1℃ 42.7℃
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 41.3℃ 45.0℃
以上から見ても明らかな通り、39度でも5500万kwには達しないし、5999万kwは43度を超えなければ届かないことになる。このことからも東電の需要予測がもはや非現実的なことは明らかである。
ここまで見てきたように、今回の予測手法でも結論は、今年の最大需要量は多くても5200万kw程度、温度次第では5000万kwを大幅に下回ることも十分考えられるということになった。
今後も推移を見守っていくつもりなので、逐次ご報告できると思う。
以上
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