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2011年8月19日金曜日
2011年8月7日日曜日
東電の最大電力需要量は5000万kwに届くか 更新版 その2付録
付録:
参考として、土、日、祭日も含めた全ての日を対象に「更新版 その2」と同様の計算を行った結果を次に示す。
一般的には休日は需要量がかなり減るのが普通なので、混ぜて係数として使うのは適切ではないと考え、「その2」の計算では休日を除いて行った。しかし比較の意味であえてここに提示することにした。
(基本データ)
2010年6月1日~7月31日 155.8万kw/1℃
2010年6月1日~9月30日 157.5万kw/1℃
2010年7月1日~7月31日 157.2万kw/1℃
2011年6月1日~7月31日 135.8万kw/1℃
2011年7月1日~7月31日 131.2万kw/1℃
(1)1℃当たりの需要量増減の比較
2011/2010 削減率% 5999×(100-削減率%)
6月1日~7月31日 135.8/155.8 12.8% 5229万kw
同上(対10/6/1~9/30) 135.8/157.5 13.8% 5172
7月1日~31日 131.2/157.2 16.5% 5007
(2)1℃当たりの需要量に最高温度を掛ける
2011/6/1~7/31 135.8×37.2℃= 5052万kw
2011/7/1~31 131.2×37.2℃= 4881万kw
(3)最高温度から見た需要予測
(単位:万kw) 35℃ 37℃ 39℃ 40℃
2011/6/1~7/31(135.8万kw/1℃) 4753 5025 5296 5432
2011/7/1~7/31(131.2万kw/1℃) 4592 4854 5117 5248
(単位:万kw) 5000万kw 5500万kw 5999万kw
2011/6/1~7/31(135.8万kw/1℃) 36.8℃ 40.5℃ 44.2℃
2011/7/1~7/31(131.2万kw/1℃) 38.1℃ 41.9℃ 45.7℃
以上
参考として、土、日、祭日も含めた全ての日を対象に「更新版 その2」と同様の計算を行った結果を次に示す。
一般的には休日は需要量がかなり減るのが普通なので、混ぜて係数として使うのは適切ではないと考え、「その2」の計算では休日を除いて行った。しかし比較の意味であえてここに提示することにした。
(基本データ)
2010年6月1日~7月31日 155.8万kw/1℃
2010年6月1日~9月30日 157.5万kw/1℃
2010年7月1日~7月31日 157.2万kw/1℃
2011年6月1日~7月31日 135.8万kw/1℃
2011年7月1日~7月31日 131.2万kw/1℃
(1)1℃当たりの需要量増減の比較
2011/2010 削減率% 5999×(100-削減率%)
6月1日~7月31日 135.8/155.8 12.8% 5229万kw
同上(対10/6/1~9/30) 135.8/157.5 13.8% 5172
7月1日~31日 131.2/157.2 16.5% 5007
(2)1℃当たりの需要量に最高温度を掛ける
2011/6/1~7/31 135.8×37.2℃= 5052万kw
2011/7/1~31 131.2×37.2℃= 4881万kw
(3)最高温度から見た需要予測
(単位:万kw) 35℃ 37℃ 39℃ 40℃
2011/6/1~7/31(135.8万kw/1℃) 4753 5025 5296 5432
2011/7/1~7/31(131.2万kw/1℃) 4592 4854 5117 5248
(単位:万kw) 5000万kw 5500万kw 5999万kw
2011/6/1~7/31(135.8万kw/1℃) 36.8℃ 40.5℃ 44.2℃
2011/7/1~7/31(131.2万kw/1℃) 38.1℃ 41.9℃ 45.7℃
以上
2011年8月6日土曜日
東電の最大電力需要量は5000万kwに届くか 更新版 その2
2.温度1度当たりの需要量による需要予測
次に、7月19日の「東電の最大電力需要量は5000万kwに届くか 第2弾」のデータ更新を行ってみよう。
その手法は前回と同じく、6月1日から9月末までを対象期間として(本年は7月31日まで)一日の最大需要量をその日の最高温度で割った、温度1度当たりの需要量を使った需要予測である。(需要量の減る土,日、祝祭日は除いてある。)
その基本となるデータは次の通り。
2010年6月1日~7月31日 163.0万kw/1℃
2010年6月1日~9月30日 164.9万kw/1℃
2010年7月1日~7月31日 165.6万kw/1℃
2010年7月1日~8月31日 164.5万kw/1℃
2010年7月1日~9月30日 166.4万kw/1℃
2011年6月1日~7月31日 139.5万kw/1℃
2011年7月1日~7月31日 134.2万kw/1℃
(参考)前回データ
2010年6月1日~7月16日 161.8万kw/1℃
2011年6月1日~7月16日 140.6万kw/1℃
2011年7月1日~7月16日 133.3万kw/1℃
ではこれを使って前回の予測の更新を行ってみよう。
(1)1℃当たりの需要量増減の比較
まず最初に1℃上下した時の需要量の増減度合いを昨年と、本年で比較してみよう。
2011/2010 削減率% 5999×(100-削減率%)
6月1日~7月31日 139.5/163.0 14.4% 5135万kw
同上(対10/6/1~9/30) 139.5/166.4 15.4% 5075
7月1日~31日 134.2/165.6 19.0% 4862
(参考)前回データ
2011/2010 削減率% 5999×(100-削減率%)
6月1日~7月16日 140.6/161.8 13.1% 5213万kw
同上(対10/6/1~9/30) 140.6/164.9 14.7% 5115
7月1日~16日 133.3/161.8 17.6% 4942
同上(対10/7/1~7/31) 133.3/165.6 19.5% 4829
削減率はかなり大きな幅が出たが、需要予測としては4900~5100万kwの範囲であろうか。
前回「7月だけの数字(2010年は1~31日、2011年は1~16日)で比較した4829万kwの予測値は、今年の最大需要量が7/15の4627万kwなので、あとわずか200万kw程度となる。気の小さい私としては、いくらなんでもこれはちょっと低すぎるように思うが、一応推定値の幅の下限」と書いたが、どうやらこの数値も現実味を帯びてきた。猛暑が来ないと「7/15の4627万kw」が今年の最大需要量で終わることさえもありうるのではないか。今回はちょっと強気(?)
(2)1℃当たりの需要量に最高温度を掛ける
ずばり、昨年8月17日に記録した最高温度37.2度に今年の6/1~7/31の139.5万を掛けてみると、5189万kw。7月平均の134.2万だと4992万kwまで落ちる。5000~5200万kwといったところか。
この場合、前回の予測とそれほど違いはない。
(3)最高温度から見た需要予測
今度は温度の方から攻めてみたい。
今年の最高温度が何度になったら最大需要量はどのくらいまでいくのかを予測してみる。
その結果を次に示す。
(単位:万kw) 35℃ 37℃ 39℃ 40℃
2011/6/1~7/31(139.5万kw/1℃) 4883 5162 5441 5580
2011/7/1~7/31(134.2万kw/1℃) 4697 4965 5234 5368
(参考)前回データ
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 5051 5339 5628 5772
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 4922 5203 5484 5625
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 4664 4931 5198 5331
この結果から見ても、本年の最高温度が39度を超えたとしても、東電の予測する5500万kwの最大需要量に達することはあるまい。昨年並み37度でも5200万kw弱、下手をすると5000万kwにも届かないかもしれない。ましてや35℃止まりなら、確実に5000万kwを下回るということになる。今年はすでに6月29日に35.1度を記録しているが、同日の最大需要は4571万kwであった。
最後に東電の出している最大需要予測量5500万kwと昨年の最大需要量の5999万kwに達するとしたら、最高温度はどのくらいになるかを計算してみよう。
(単位:万kw) 5000万kw 5500万kw 5999万kw
2011/6/1~7/31(139.5万kw/1℃) 35.8℃ 39.4℃ 43.0℃
2011/7/1~7/31(134.2万kw/1℃) 37.3℃ 41.0℃ 44.7℃
(参考)前回データ
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 38.1℃ 41.6℃
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 39.1℃ 42.7℃
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 41.3℃ 45.0℃
以上から見ても明らかな通り、39度でも5500万kwには達しないし、5999万kwは43度を超えなければ届かないことになる。このことからも東電の需要予測がもはや非現実的なことは明らかである。
ここまで見てきたように、今回の予測手法でも結論は、今年の最大需要量は多くても5200万kw程度、温度次第では5000万kwを大幅に下回ることも十分考えられるということになった。
今後も推移を見守っていくつもりなので、逐次ご報告できると思う。
以上
次に、7月19日の「東電の最大電力需要量は5000万kwに届くか 第2弾」のデータ更新を行ってみよう。
その手法は前回と同じく、6月1日から9月末までを対象期間として(本年は7月31日まで)一日の最大需要量をその日の最高温度で割った、温度1度当たりの需要量を使った需要予測である。(需要量の減る土,日、祝祭日は除いてある。)
その基本となるデータは次の通り。
2010年6月1日~7月31日 163.0万kw/1℃
2010年6月1日~9月30日 164.9万kw/1℃
2010年7月1日~7月31日 165.6万kw/1℃
2010年7月1日~8月31日 164.5万kw/1℃
2010年7月1日~9月30日 166.4万kw/1℃
2011年6月1日~7月31日 139.5万kw/1℃
2011年7月1日~7月31日 134.2万kw/1℃
(参考)前回データ
2010年6月1日~7月16日 161.8万kw/1℃
2011年6月1日~7月16日 140.6万kw/1℃
2011年7月1日~7月16日 133.3万kw/1℃
ではこれを使って前回の予測の更新を行ってみよう。
(1)1℃当たりの需要量増減の比較
まず最初に1℃上下した時の需要量の増減度合いを昨年と、本年で比較してみよう。
2011/2010 削減率% 5999×(100-削減率%)
6月1日~7月31日 139.5/163.0 14.4% 5135万kw
同上(対10/6/1~9/30) 139.5/166.4 15.4% 5075
7月1日~31日 134.2/165.6 19.0% 4862
(参考)前回データ
2011/2010 削減率% 5999×(100-削減率%)
6月1日~7月16日 140.6/161.8 13.1% 5213万kw
同上(対10/6/1~9/30) 140.6/164.9 14.7% 5115
7月1日~16日 133.3/161.8 17.6% 4942
同上(対10/7/1~7/31) 133.3/165.6 19.5% 4829
削減率はかなり大きな幅が出たが、需要予測としては4900~5100万kwの範囲であろうか。
前回「7月だけの数字(2010年は1~31日、2011年は1~16日)で比較した4829万kwの予測値は、今年の最大需要量が7/15の4627万kwなので、あとわずか200万kw程度となる。気の小さい私としては、いくらなんでもこれはちょっと低すぎるように思うが、一応推定値の幅の下限」と書いたが、どうやらこの数値も現実味を帯びてきた。猛暑が来ないと「7/15の4627万kw」が今年の最大需要量で終わることさえもありうるのではないか。今回はちょっと強気(?)
(2)1℃当たりの需要量に最高温度を掛ける
ずばり、昨年8月17日に記録した最高温度37.2度に今年の6/1~7/31の139.5万を掛けてみると、5189万kw。7月平均の134.2万だと4992万kwまで落ちる。5000~5200万kwといったところか。
この場合、前回の予測とそれほど違いはない。
(3)最高温度から見た需要予測
今度は温度の方から攻めてみたい。
今年の最高温度が何度になったら最大需要量はどのくらいまでいくのかを予測してみる。
その結果を次に示す。
(単位:万kw) 35℃ 37℃ 39℃ 40℃
2011/6/1~7/31(139.5万kw/1℃) 4883 5162 5441 5580
2011/7/1~7/31(134.2万kw/1℃) 4697 4965 5234 5368
(参考)前回データ
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 5051 5339 5628 5772
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 4922 5203 5484 5625
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 4664 4931 5198 5331
この結果から見ても、本年の最高温度が39度を超えたとしても、東電の予測する5500万kwの最大需要量に達することはあるまい。昨年並み37度でも5200万kw弱、下手をすると5000万kwにも届かないかもしれない。ましてや35℃止まりなら、確実に5000万kwを下回るということになる。今年はすでに6月29日に35.1度を記録しているが、同日の最大需要は4571万kwであった。
最後に東電の出している最大需要予測量5500万kwと昨年の最大需要量の5999万kwに達するとしたら、最高温度はどのくらいになるかを計算してみよう。
(単位:万kw) 5000万kw 5500万kw 5999万kw
2011/6/1~7/31(139.5万kw/1℃) 35.8℃ 39.4℃ 43.0℃
2011/7/1~7/31(134.2万kw/1℃) 37.3℃ 41.0℃ 44.7℃
(参考)前回データ
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 38.1℃ 41.6℃
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 39.1℃ 42.7℃
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 41.3℃ 45.0℃
以上から見ても明らかな通り、39度でも5500万kwには達しないし、5999万kwは43度を超えなければ届かないことになる。このことからも東電の需要予測がもはや非現実的なことは明らかである。
ここまで見てきたように、今回の予測手法でも結論は、今年の最大需要量は多くても5200万kw程度、温度次第では5000万kwを大幅に下回ることも十分考えられるということになった。
今後も推移を見守っていくつもりなので、逐次ご報告できると思う。
以上
2011年8月5日金曜日
東電の最大電力需要量は5000万kwに届くか 更新版 その1
これまで2回にわたり東電の電力需要を私なりに予測してみたが、7月下旬の台風をきっかけに気温が急落、昨年の猛暑とは様相が一変してしまった。これでは今更需要予測をしても意味なさそう。ましてや節電キャンペーンなど根本的な再検討が必要ではないか。
とはいえまだ8月が始まったばかり。この後昨年の猛暑が再来しないとは限らない。そこで、前回のデータを更新して改めて計算してみることにする。
1.昨年と今年の需要実績の比較
まずは7月15日に行った需要予測の更新から始めよう。
(1)最高温度が30度を超えた日による比較
30度を超えた日数 需要実績平均(万kw)
(参考)前回データ
以上のデータを元に今年の減少率(節電率)を計算した結果は以下の通りである。右欄の5999は昨年7月23日に記録した最大電力量の5999万kwである。
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
(参考)前回データ
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
以上の試算からみると、15~17%の低下、需要予測としては5000~5100万kw程度となる。前回より若干低い数値となった。
(2)最高温度が30度を超えた日による比較(土、日、祝祭日を除いたケース)
需要量が低下する土、日、祝祭日を除いて計算すると、次の通りとなる。
30度を超えた日数 需要実績平均(万kw)
(参考)前回データ
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
(参考)前回データ
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
以上の試算からみると、本年の需要減少率は今のところ概ね17.5~20%の低下、需要予測としては4800~4950万kw程度となる。この場合でも前回より50万kw程度低下した。
(3)全ての日を対象にした比較
念のため、温度、曜日に関係なく6月1日から9月30日までの全ての日を対象に同様の計算をし、結果のみを示すと次のようになる。
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
この場合は需要減少率は17~20%で、需要予測としては4800~5000万kw程度となる。
ここまで昨年と今年の需要実績を比較して、8月以降の最高需要量を予測してみた。データを見て明らかなように、本年はこれまで、節電効果と、7月下旬以降の温度低下も相まって、15~20%という大きな需要減少を実現している。
今後猛暑が再来することも十分考えておかねばならないし、温度が急上昇すれば、これまでのような削減率をそのまま当てはめるのは適切ではないかもしれない。しかし高温が続いた本年7月前半のデータによる予測でも、最大5100万kw台がせいぜいとなっており、現在のような平年並みあるいはそれ以下の温度が続けば、5000万kwに届かないのは間違いないであろう。
さらに「更新版 その2」で、7月19日に書いた第2弾の更新データを使って、別サイドから検証してみよう。
(その2 に続く)
とはいえまだ8月が始まったばかり。この後昨年の猛暑が再来しないとは限らない。そこで、前回のデータを更新して改めて計算してみることにする。
1.昨年と今年の需要実績の比較
まずは7月15日に行った需要予測の更新から始めよう。
(1)最高温度が30度を超えた日による比較
30度を超えた日数 需要実績平均(万kw)
- 2010年6月 4日 4825
- 2010年7月 22日 5090
- 2010年8月 30日 5262
- 2010年9月 14日 5303
- 2010年6-7月平均 5049
- 2010年6-9月平均 5191
- 2011年6月 6日 4333
- 2011年7月 20日 4260
- 2011年6-7月平均 4307
(参考)前回データ
- 2011年7月(15日まで) 13日 4339
- 2011年6-7月(15日まで)平均 4337
以上のデータを元に今年の減少率(節電率)を計算した結果は以下の通りである。右欄の5999は昨年7月23日に記録した最大電力量の5999万kwである。
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
- 6-7月の平均 14.7% 742万kw 5117万kw
- 同上(対10/6~9) 17.0% 884万kw 4979万kw
- 7月の平均 16.3% 830万kw 5021万kw
(参考)前回データ
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
- 6-7月(15日まで)の平均 14.1% 712万kw 5153万kw
- 同上(対10/6~9) 16.5% 854万kw 5009万kw
- 7月(15日まで)の平均 14.8% 751万kw 5111万kw
以上の試算からみると、15~17%の低下、需要予測としては5000~5100万kw程度となる。前回より若干低い数値となった。
(2)最高温度が30度を超えた日による比較(土、日、祝祭日を除いたケース)
需要量が低下する土、日、祝祭日を除いて計算すると、次の通りとなる。
30度を超えた日数 需要実績平均(万kw)
- 2010年6月 4日 4825
- 2010年7月 14日 5378
- 2010年8月 21日 5508
- 2010年9月 10日 5492
- 2010年6-7月平均 5255
- 2010年6-9月平均 5412
- 2011年6月 6日 4333
- 2011年7月 14日 4336
- 2011年6-7月平均 4335
(参考)前回データ
- 2011年7月(15日まで) 10日 4412
- 2011年6-7月(15日まで)平均 4382
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
- 6-7月の平均 17.5% 920万kw 4949万kw
- 同上(対10/6~9) 19.9% 1076万kw 4805万kw
- 7月の平均 19.4% 1042万kw 4835万kw
(参考)前回データ
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
- 6-7月(15日まで)の平均 16.6% 873万kw 5003万kw
- 同上(対10/6~9) 19.0% 1030万kw 4859万kw
- 7月(15日まで)の平均 18.0% 966万kw 4919万kw
以上の試算からみると、本年の需要減少率は今のところ概ね17.5~20%の低下、需要予測としては4800~4950万kw程度となる。この場合でも前回より50万kw程度低下した。
(3)全ての日を対象にした比較
念のため、温度、曜日に関係なく6月1日から9月30日までの全ての日を対象に同様の計算をし、結果のみを示すと次のようになる。
需要量減少率 需要量減少量 5990×(100-減少%)
- 6-7月の平均 16.8% 774万kw 4991万kw
- 同上(対10/6~9) 19.8% 947万kw 4811万kw
- 7月の平均 18.3% 910万kw 4901万kw
この場合は需要減少率は17~20%で、需要予測としては4800~5000万kw程度となる。
ここまで昨年と今年の需要実績を比較して、8月以降の最高需要量を予測してみた。データを見て明らかなように、本年はこれまで、節電効果と、7月下旬以降の温度低下も相まって、15~20%という大きな需要減少を実現している。
今後猛暑が再来することも十分考えておかねばならないし、温度が急上昇すれば、これまでのような削減率をそのまま当てはめるのは適切ではないかもしれない。しかし高温が続いた本年7月前半のデータによる予測でも、最大5100万kw台がせいぜいとなっており、現在のような平年並みあるいはそれ以下の温度が続けば、5000万kwに届かないのは間違いないであろう。
さらに「更新版 その2」で、7月19日に書いた第2弾の更新データを使って、別サイドから検証してみよう。
(その2 に続く)
2011年8月1日月曜日
2011年7月22日金曜日
2011年7月19日火曜日
東電の最大電力需要量は5000万kwに届くか 第2弾
前回、東京の最高温度が30度を超えた日の東電最大電力需要量実績を前年と比較する手法によって、今夏の最大需要量を予測してみた。
今回は別の方法で最大需要を予測してみよう。
その手法は前回と同じく、6月1日から9月末までを対象期間として(本年は7月16日まで)一日の最大需要量をその日の最高温度で割って、温度1度当たりの需要量を計算してみようというものである。
これを日々計算し、以下の期間の平均を取ってみると、次のようになる。ただし需要量の減る土,日、祝祭日は除いてある。
2010年6月1日~7月16日 161.8万kw/1℃
2010年6月1日~7月31日 163.0万kw/1℃
2010年6月1日~9月30日 164.9万kw/1℃
2010年7月1日~8月31日 164.5万kw/1℃
2010年7月1日~9月30日 166.4万kw/1℃
2010年7月1日~7月31日 165.6万kw/1℃
2011年6月1日~7月16日 140.6万kw/1℃
2011年7月1日~7月16日 133.3万kw/1℃
この数字を使って、今後最高温度がどれだけ上がったら最大需要量がどの程度になるかを試算してみよう。
まず最初に1℃上がった時の需要量の増加度合いを昨年と、本年で比較してみよう。
6/1~7/16で比較すると140.6対161.8で、削減率は13.1%。これを昨年の最大需要量5999万kwに掛けると5213万kwとなる。昨年の数値を6/1~7/31に置き換えると、140.6対163.0となり、削減率13.7%、5175万kwになる。昨年の数値を6/1~9/30の164.9万に変えると、削減率は14.7%。5999万に対し、5115万kwとなる。7/1~9/30の166.4万を使うと、15.5%減で、5069万kw。
結局13.1~15.5%、5069~5213万kw、大雑把に言って、13~15%減、5100~5200万kw。
7月だけの数字(2010年は1~31日、2011年は1~16日)で比較すると、ちょっと驚く。
165.6万対133.3万で、何と削減率は19.5%。5999万に対して4829万kwとなる。今年の最大需要量は7/15の4627万kwなので、あとわずか200万kw程度となる。気の小さい私としては、いくらなんでもこれはちょっと低すぎるように思うが、一応推定値の幅の下限としておく。
6-7月の比較と7月の比較でかなり違いが出た理由は最高温度のグラフを見てみると分かる。昨年は6月初めから7月中旬までなだらかに上昇し、7月下旬になって急上昇している。これに対し本年は6月中旬までは比較的低温で20日過ぎから急上昇、7月に入ってからは2日僅かに切った以外連日30度を超える猛暑となった。温度が急変動する時はどうしても1℃当たりの需要量は大きくなるが、高原状態になると需要の増減は温度変化に対して鈍くなる。そのため昨年は6月より7月の方が係数が高くなった(6月160.6、7月165.6)。一方、本年は6月144.3、7月133.3と見事に逆現象となっているのはこのためであろう。したがって、やはり6~7月の平均で比較するのが平準化する意味でも、より現実的ではないかと思う。
次に、単純に1℃当たりの需要量に温度を掛けてみよう。
ずばり、昨年8月17日に記録した最高温度37.2度に今年の6/1~7/16の140.6万を掛けてみると、5230万kw。7月平均の133.3万だと4959万kwまで落ちる。5000~5200万kwといったところか。
ちなみに、この最高温度に昨年の6/1~7/16の161.8万を掛けると6019万kw。昨年の最大需要量の5999万kwとは僅か20万kwしか違わない。もっとも、同日の最大需要は5887万kwまでしか上がっておらず、これよりは130万kw余り多い。逆にその最大需要量5999万kwを記録した日(7/23)の最高温度は35.7度。言うまでもないが、需要量のピークを記録するのは、その日の温度だけがすべてではない。厳密な試算をやろうと思えば、風、湿度、過去数日間の気象状況、個人、企業活動状況等々さまざまなファクターを考慮しなければならない。ここは思いつき程度の試算だと思ってお付き合いいただこう。
さてまた余計な話になってしまったので、先に進めよう。
今度は温度の方から攻めてみたい。
今年の最高温度が何度になったら最大需要量はどのくらいまでいくのかを予測してみる。
その結果を次に示す。
(単位:万kw) 35℃ 37℃ 39℃ 40℃
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 5051 5339 5628 5772
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 4922 5203 5484 5625
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 4664 4931 5198 5331
この結果から見ても、本年の最高温度が39度以上という猛暑にならない限り、東電の予測する5500万kwの最大需要量に達することはあるまい。昨年並み37度でも5200万kw程度、下手をすると5000万kwにも届かないかもしれない。ましてや35℃止まりなら、確実に5000万kwを下回るということになる。今年はすでに6月29日に35.1度を記録しているが、同日の最大需要は4571万kwであった。
最後に東電の出している最大需要予測量5500万kwと昨年の最大需要量の5999万kwに達するとしたら、最高温度はどのくらいになるかを計算してみよう。
5500万kw 5999万kw
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 38.1℃ 41.6℃
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 39.1℃ 42.7℃
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 41.3℃ 45.0℃
以上から見ても明らかな通り、少なくとも38度を越えないと5500万kwには達しないし、5999万kwは41度でも届かないことになる。このことからも東電が需要予測を大幅に下方修正せざるをえないのは時間の問題と言える。早ければ今週末にも修正を発表するのではないか。
ここまで見てきたように、今回の予測手法での結論は、今年の最大需要量は多くても5200万kw程度、温度次第では5000万kwを切ることも十分考えられるということになった。
前回の予測と比べてどうであろうか。今回は上限がやや高く出た感はあるが、概ね5200万~5000万kw弱の範囲に収まったように思う。
今後も推移を見守っていくつもりなので、逐次ご報告できると思う。
<参考>大雑把な感触をつかんでもらうにはグラフの方が分かりやすいかもしれない。細かい数値を見るのは困難だが、以下に示す。
今回は別の方法で最大需要を予測してみよう。
その手法は前回と同じく、6月1日から9月末までを対象期間として(本年は7月16日まで)一日の最大需要量をその日の最高温度で割って、温度1度当たりの需要量を計算してみようというものである。
これを日々計算し、以下の期間の平均を取ってみると、次のようになる。ただし需要量の減る土,日、祝祭日は除いてある。
2010年6月1日~7月16日 161.8万kw/1℃
2010年6月1日~7月31日 163.0万kw/1℃
2010年6月1日~9月30日 164.9万kw/1℃
2010年7月1日~8月31日 164.5万kw/1℃
2010年7月1日~9月30日 166.4万kw/1℃
2010年7月1日~7月31日 165.6万kw/1℃
2011年6月1日~7月16日 140.6万kw/1℃
2011年7月1日~7月16日 133.3万kw/1℃
この数字を使って、今後最高温度がどれだけ上がったら最大需要量がどの程度になるかを試算してみよう。
まず最初に1℃上がった時の需要量の増加度合いを昨年と、本年で比較してみよう。
6/1~7/16で比較すると140.6対161.8で、削減率は13.1%。これを昨年の最大需要量5999万kwに掛けると5213万kwとなる。昨年の数値を6/1~7/31に置き換えると、140.6対163.0となり、削減率13.7%、5175万kwになる。昨年の数値を6/1~9/30の164.9万に変えると、削減率は14.7%。5999万に対し、5115万kwとなる。7/1~9/30の166.4万を使うと、15.5%減で、5069万kw。
結局13.1~15.5%、5069~5213万kw、大雑把に言って、13~15%減、5100~5200万kw。
7月だけの数字(2010年は1~31日、2011年は1~16日)で比較すると、ちょっと驚く。
165.6万対133.3万で、何と削減率は19.5%。5999万に対して4829万kwとなる。今年の最大需要量は7/15の4627万kwなので、あとわずか200万kw程度となる。気の小さい私としては、いくらなんでもこれはちょっと低すぎるように思うが、一応推定値の幅の下限としておく。
6-7月の比較と7月の比較でかなり違いが出た理由は最高温度のグラフを見てみると分かる。昨年は6月初めから7月中旬までなだらかに上昇し、7月下旬になって急上昇している。これに対し本年は6月中旬までは比較的低温で20日過ぎから急上昇、7月に入ってからは2日僅かに切った以外連日30度を超える猛暑となった。温度が急変動する時はどうしても1℃当たりの需要量は大きくなるが、高原状態になると需要の増減は温度変化に対して鈍くなる。そのため昨年は6月より7月の方が係数が高くなった(6月160.6、7月165.6)。一方、本年は6月144.3、7月133.3と見事に逆現象となっているのはこのためであろう。したがって、やはり6~7月の平均で比較するのが平準化する意味でも、より現実的ではないかと思う。
次に、単純に1℃当たりの需要量に温度を掛けてみよう。
ずばり、昨年8月17日に記録した最高温度37.2度に今年の6/1~7/16の140.6万を掛けてみると、5230万kw。7月平均の133.3万だと4959万kwまで落ちる。5000~5200万kwといったところか。
ちなみに、この最高温度に昨年の6/1~7/16の161.8万を掛けると6019万kw。昨年の最大需要量の5999万kwとは僅か20万kwしか違わない。もっとも、同日の最大需要は5887万kwまでしか上がっておらず、これよりは130万kw余り多い。逆にその最大需要量5999万kwを記録した日(7/23)の最高温度は35.7度。言うまでもないが、需要量のピークを記録するのは、その日の温度だけがすべてではない。厳密な試算をやろうと思えば、風、湿度、過去数日間の気象状況、個人、企業活動状況等々さまざまなファクターを考慮しなければならない。ここは思いつき程度の試算だと思ってお付き合いいただこう。
さてまた余計な話になってしまったので、先に進めよう。
今度は温度の方から攻めてみたい。
今年の最高温度が何度になったら最大需要量はどのくらいまでいくのかを予測してみる。
その結果を次に示す。
(単位:万kw) 35℃ 37℃ 39℃ 40℃
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 5051 5339 5628 5772
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 4922 5203 5484 5625
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 4664 4931 5198 5331
この結果から見ても、本年の最高温度が39度以上という猛暑にならない限り、東電の予測する5500万kwの最大需要量に達することはあるまい。昨年並み37度でも5200万kw程度、下手をすると5000万kwにも届かないかもしれない。ましてや35℃止まりなら、確実に5000万kwを下回るということになる。今年はすでに6月29日に35.1度を記録しているが、同日の最大需要は4571万kwであった。
最後に東電の出している最大需要予測量5500万kwと昨年の最大需要量の5999万kwに達するとしたら、最高温度はどのくらいになるかを計算してみよう。
5500万kw 5999万kw
2011/6/1~6/30(144.3万kw/1℃) 38.1℃ 41.6℃
2011/6/1~7/16(140.6万kw/1℃) 39.1℃ 42.7℃
2011/7/1~7/16(133.3万kw/1℃) 41.3℃ 45.0℃
以上から見ても明らかな通り、少なくとも38度を越えないと5500万kwには達しないし、5999万kwは41度でも届かないことになる。このことからも東電が需要予測を大幅に下方修正せざるをえないのは時間の問題と言える。早ければ今週末にも修正を発表するのではないか。
ここまで見てきたように、今回の予測手法での結論は、今年の最大需要量は多くても5200万kw程度、温度次第では5000万kwを切ることも十分考えられるということになった。
前回の予測と比べてどうであろうか。今回は上限がやや高く出た感はあるが、概ね5200万~5000万kw弱の範囲に収まったように思う。
今後も推移を見守っていくつもりなので、逐次ご報告できると思う。
<参考>大雑把な感触をつかんでもらうにはグラフの方が分かりやすいかもしれない。細かい数値を見るのは困難だが、以下に示す。
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2011年7月16日土曜日
2011年7月15日金曜日
東電の最大電力需要量は5000万kwに届くか
これまで主に東電の電力供給力に重点を置いて色々考察してきたが、今度は少し視点を変えて、需要面から見てみたい。
とはいっても、私には電力需要予測を行う材料もないので、昨年と今年の需要実績から傾向を見てみたいと思う。
ここでは昨日ブログに掲載した「東京の最高温度と東電需要実績のグラフ」をベースに、本年はどの程度の節電がなされているかを試算し、これを元に今後を占ってみよう。
グラフを見ながら、読んでいただきたいが、まず基本となる手法を次に示そう。
昨年6月初めから9月末までと本年の昨日までの、東京で30度を超えた日の東電電力需要実績を比較して、どのくらいの節電が実現しているかを推測する。
次にそのデータを示す。
30度を超えた日数 需要実績平均(万kw)
さらに、昨年6-9月平均と本年の6月初めからこれまでの平均を比べてみると、854万kw減で、約16.5%のマイナスとなる。昨年8月の猛暑(僅か1日しか30度を下回らなかった)を考えると、今年が平年並みの暑さであれば、この程度の減少は期待できるかもしれない。
なんと偶然(?)にも15%程度の節電がいいペースで進んでいることを証明してしまった(?)。
ちょっと出来すぎか。
それではこの平均値を昨年の最大電力消費量に当てはめてみよう。昨年の最大電力量は7月23日の5999万kwである。 14%減で5159万kw、15%で5099万kw、16%減で5039万kwとなる。
妙な結論になってしまったが、私の結論は東電の目論見通りということのようだ。15%節電が上手くいくとすれば、本年の最大電力量は5100万kw程度となり、東電が想定している最大需要量5500万kwを400万kwも下回ることになる。
最近東北電のみならず、関西にまで電力融通できるようなことを言い出した東電の強気の元はこういうことなのかもしれない。東北電140万kw、関西100万kw程度なら十分可能というわけである。
念のため需要量の少ない土、日、祝祭日を除いて計算すると、次の通りとなり、一段と節電効果が高まる結果となる。
30度を超えた日数 需要実績平均(万kw)
昨年6-9月平均と本年の6月初めからこれまでの平均を比べてみると、1030万kw減で、約19%のマイナスとなる。
昨年の最大電力量5999万kwに当てはめると、16.6%減で5003万kw、18%で4919万kw、19%減で4859万kwとなる。
ひょっとすると天候次第では最大電力量は5000万kwに届かない可能性もあるのではないか。
これは東電にとっては上手く行き過ぎで、これでは原発などまったく不要という結論になってしまう。
上手の手から水が漏れたのか?それとも東電としてもいまさら原発でもあるまいと、高を括ったか。
確かに現実的に見て東電が企業として生き残ったとしても、これから原発をさらに推進することは不可能である。菅さんも脱原発宣言をしたことだし、この際東電も脱原発で行こうということか。
問題は他の八電力が親分について行けるか。原発推進派にとってもここは正念場であろう。
以上 (110716元データの修正に基づき一部改定。)
とはいっても、私には電力需要予測を行う材料もないので、昨年と今年の需要実績から傾向を見てみたいと思う。
ここでは昨日ブログに掲載した「東京の最高温度と東電需要実績のグラフ」をベースに、本年はどの程度の節電がなされているかを試算し、これを元に今後を占ってみよう。
グラフを見ながら、読んでいただきたいが、まず基本となる手法を次に示そう。
昨年6月初めから9月末までと本年の昨日までの、東京で30度を超えた日の東電電力需要実績を比較して、どのくらいの節電が実現しているかを推測する。
次にそのデータを示す。
30度を超えた日数 需要実績平均(万kw)
- 2010年6月 4日 4825
- 2011年6月 6日 4333
- 2010年7月 22日 5090
- 2011年7月(15日まで) 13日 4339
- 2010年8月 30日 5262
- 2010年9月 14日 5303
- 2010年6-7月平均 5049
- 2011年6-7月平均 4337
- 2010年6-9月平均 5191
さらに、昨年6-9月平均と本年の6月初めからこれまでの平均を比べてみると、854万kw減で、約16.5%のマイナスとなる。昨年8月の猛暑(僅か1日しか30度を下回らなかった)を考えると、今年が平年並みの暑さであれば、この程度の減少は期待できるかもしれない。
なんと偶然(?)にも15%程度の節電がいいペースで進んでいることを証明してしまった(?)。
ちょっと出来すぎか。
それではこの平均値を昨年の最大電力消費量に当てはめてみよう。昨年の最大電力量は7月23日の5999万kwである。 14%減で5159万kw、15%で5099万kw、16%減で5039万kwとなる。
妙な結論になってしまったが、私の結論は東電の目論見通りということのようだ。15%節電が上手くいくとすれば、本年の最大電力量は5100万kw程度となり、東電が想定している最大需要量5500万kwを400万kwも下回ることになる。
最近東北電のみならず、関西にまで電力融通できるようなことを言い出した東電の強気の元はこういうことなのかもしれない。東北電140万kw、関西100万kw程度なら十分可能というわけである。
念のため需要量の少ない土、日、祝祭日を除いて計算すると、次の通りとなり、一段と節電効果が高まる結果となる。
30度を超えた日数 需要実績平均(万kw)
- 2010年6月 4日 4825
- 2011年6月 6日 4333
- 2010年7月 14日 5378
- 2011年7月(15日まで) 10日 4412
- 2010年8月 21日 5508
- 2010年9月 10日 5492
- 2010年6-7月平均 5255
- 2011年6-7月平均 4382
- 2010年6-9月平均 5412
昨年6-9月平均と本年の6月初めからこれまでの平均を比べてみると、1030万kw減で、約19%のマイナスとなる。
昨年の最大電力量5999万kwに当てはめると、16.6%減で5003万kw、18%で4919万kw、19%減で4859万kwとなる。
ひょっとすると天候次第では最大電力量は5000万kwに届かない可能性もあるのではないか。
これは東電にとっては上手く行き過ぎで、これでは原発などまったく不要という結論になってしまう。
上手の手から水が漏れたのか?それとも東電としてもいまさら原発でもあるまいと、高を括ったか。
確かに現実的に見て東電が企業として生き残ったとしても、これから原発をさらに推進することは不可能である。菅さんも脱原発宣言をしたことだし、この際東電も脱原発で行こうということか。
問題は他の八電力が親分について行けるか。原発推進派にとってもここは正念場であろう。
以上 (110716元データの修正に基づき一部改定。)
2011年7月14日木曜日
2011年7月13日水曜日
東電電力需給比較 高野先生vs私vs東電
先日ツイッター(7月7日)で名古屋大学のだいずせんせいこと高野雅夫先生がテレビ朝日の「モーニングバード」という番組に出演され、東電の今夏電力供給力についてコメントされたそうだ。そのユーチューブの画像と先生のブログ(http://is.gd/nxI16B)を元に整理した部門別の供給力を下に示してある。
先生の積み上げ計算の元は「電源開発の概要2010経産省資源エネルギー庁電力・ガス事業部編」とのことなので、客観性のあるデータの積み上げによるものである。
そこで筆者の考察した数字との比較をちょっとしてみたくなった。筆者の数字はこれまでにブログに詳しく述べてあるので、ここでは結論だけを使うことにする。一部修正した部分については注として入れることにする。
東電が明らかにしている部門別の供給力も忘れず載せておこう。これは高野先生出演のTV番組で紹介されたものと東電記者会見で明らかにした数字(7月7日付「東電需給計画の我流解釈の続編」の中で筆者が紹介)を基にしている。筆者の知る限りこれが東電の明らかにしている最も詳しい(?)供給力のデータである。こんな簡単なデータですら東電がプレスリリースなどで公式に発表した数字ではなく、あくまでも参考資料である。
では早速始めよう。 (7月末の能力推定)
高野先生 suginakkuri 東電
一般水力 218 411 310
揚水 681 650 650
電源開発揚水 253
火力 3819 4321~4366 3560
卸電力事業者火力 545 480
緊急設置電源 200 80
可動原子力 491 491 490
融通・自家発等からの受電 110
合計 6207 5873~5918 5680
23年度最大電力需要予測 5500 5500 5500
予備率% 11.4 (12.9) 6.8~7.6 3.3
昨年並み猛暑最大電力需要予測 6000 6000 6000
予備率% 3.3(3.5) -2.1~-1.4 -5.3
(注)過去のsuginakkuriのブログでは火力に以下を含んでいたが、当面難しいようなので、差し引いた。
・横須賀火力5~8号機(35万kw×4機計140万kw)の再開
・常磐共同火力7号機(25万kw)復旧 12.3万kw
・応援受電 3周波数変換所 103万kw
揚水は一般水力の詳細が不明なため、従来600万kwと控えめに見ていたが、東電が650万kwを計上したので、びっくり。東電に負けるとは思わなかった。勝ち負けの問題ではないが。したがってここでは東電の650万kwを採用した。一般水力は能力一杯計上しているが、隠れ揚水の存在もあり、揚水がかなり控えめな数字になっていることを考えれば、 妥当な所か。(若干言い訳がましいが。)
高野先生の予備率の計算は東電の予備率の定義とは違うようなので、比較上東電定義に合わせた数字を( )内に示した。
(未定稿ながら、とりあえずここまでを投稿110713)
110717追記
次に、8月末(柏崎刈羽1,7号機定期点検停止)、原発全停止のケースについても結論だけ示しておこう。
高野先生 suginakkuri 東電
8月末
合計 5962 5628~5673 5560
23年度最大電力需要予測 5500 5500 5500
予備率% (8.4) 2.3~3.1 1.1
昨年並み猛暑最大電力需要予測 6000 6000 6000
予備率% (-0.6) -6.2~-5.5 -7.3
原発全廃ケース
合計 5716 5382~5427 5314
23年度最大電力需要予測 5500 5500 5500
予備率% (3.9) -2.1~-1.3 -3.4
昨年並み猛暑最大電力需要予測 6000 6000 6000
予備率% (-4.7) -10.3~-9.6 -11.4
(注)高野先生自身は8月末ケースの試算はしていない。7月末試算から柏崎刈羽停止分を差し引いた。東電も原発全廃ケースの数値は出していない。柏崎刈羽5,6号(計246万kw)分を8月末ケース合計から差し引いた。
なお、東電は7月15日に需給見通しを一部見直し、7月末、8月末の供給力見通しをそれぞれ、計5730万kw、5610万kwに上方修正している(各50万kw増)。これは電源開発の沼原揚水発電所を織り込んだためで、早くも私の指摘した隠し玉の一部が登場した。
(参考)発電所別の詳細調査で知られる「気候ネットワーク」(http://www.kikonet.org/research/ppwatch.html)の7月6日現在の東電供給力合計は5729.2万kwとなっているが、これには広野火力(計380万kw)が含まれていない。単純加算すると6109.2万kwとなる。高野先生の7月末推定値より約100万kw少ない値となっている。
以上が比較の結果であるが、東電は次々上方修正しており、次第に私の推定、高野先生の推定に近づいているのが現状である。
一方で需要推定の方は、6000万kwはおろか5500万kwも非現実的な数字となりつつあると言っても良かろう。私の大胆推定では5100万から5000万そこそこ程度ではないかと思う。その辺は別途大胆(無責任?)推定を行っているので、お暇な方はお読みいただきたい。
(終わり)
先生の積み上げ計算の元は「電源開発の概要2010経産省資源エネルギー庁電力・ガス事業部編」とのことなので、客観性のあるデータの積み上げによるものである。
そこで筆者の考察した数字との比較をちょっとしてみたくなった。筆者の数字はこれまでにブログに詳しく述べてあるので、ここでは結論だけを使うことにする。一部修正した部分については注として入れることにする。
東電が明らかにしている部門別の供給力も忘れず載せておこう。これは高野先生出演のTV番組で紹介されたものと東電記者会見で明らかにした数字(7月7日付「東電需給計画の我流解釈の続編」の中で筆者が紹介)を基にしている。筆者の知る限りこれが東電の明らかにしている最も詳しい(?)供給力のデータである。こんな簡単なデータですら東電がプレスリリースなどで公式に発表した数字ではなく、あくまでも参考資料である。
では早速始めよう。 (7月末の能力推定)
高野先生 suginakkuri 東電
一般水力 218 411 310
揚水 681 650 650
電源開発揚水 253
火力 3819 4321~4366 3560
卸電力事業者火力 545 480
緊急設置電源 200 80
可動原子力 491 491 490
融通・自家発等からの受電 110
合計 6207 5873~5918 5680
23年度最大電力需要予測 5500 5500 5500
予備率% 11.4 (12.9) 6.8~7.6 3.3
昨年並み猛暑最大電力需要予測 6000 6000 6000
予備率% 3.3(3.5) -2.1~-1.4 -5.3
(注)過去のsuginakkuriのブログでは火力に以下を含んでいたが、当面難しいようなので、差し引いた。
・横須賀火力5~8号機(35万kw×4機計140万kw)の再開
・常磐共同火力7号機(25万kw)復旧 12.3万kw
・応援受電 3周波数変換所 103万kw
揚水は一般水力の詳細が不明なため、従来600万kwと控えめに見ていたが、東電が650万kwを計上したので、びっくり。東電に負けるとは思わなかった。勝ち負けの問題ではないが。したがってここでは東電の650万kwを採用した。一般水力は能力一杯計上しているが、隠れ揚水の存在もあり、揚水がかなり控えめな数字になっていることを考えれば、 妥当な所か。(若干言い訳がましいが。)
高野先生の予備率の計算は東電の予備率の定義とは違うようなので、比較上東電定義に合わせた数字を( )内に示した。
(未定稿ながら、とりあえずここまでを投稿110713)
110717追記
次に、8月末(柏崎刈羽1,7号機定期点検停止)、原発全停止のケースについても結論だけ示しておこう。
高野先生 suginakkuri 東電
8月末
合計 5962 5628~5673 5560
23年度最大電力需要予測 5500 5500 5500
予備率% (8.4) 2.3~3.1 1.1
昨年並み猛暑最大電力需要予測 6000 6000 6000
予備率% (-0.6) -6.2~-5.5 -7.3
原発全廃ケース
合計 5716 5382~5427 5314
23年度最大電力需要予測 5500 5500 5500
予備率% (3.9) -2.1~-1.3 -3.4
昨年並み猛暑最大電力需要予測 6000 6000 6000
予備率% (-4.7) -10.3~-9.6 -11.4
(注)高野先生自身は8月末ケースの試算はしていない。7月末試算から柏崎刈羽停止分を差し引いた。東電も原発全廃ケースの数値は出していない。柏崎刈羽5,6号(計246万kw)分を8月末ケース合計から差し引いた。
なお、東電は7月15日に需給見通しを一部見直し、7月末、8月末の供給力見通しをそれぞれ、計5730万kw、5610万kwに上方修正している(各50万kw増)。これは電源開発の沼原揚水発電所を織り込んだためで、早くも私の指摘した隠し玉の一部が登場した。
(参考)発電所別の詳細調査で知られる「気候ネットワーク」(http://www.kikonet.org/research/ppwatch.html)の7月6日現在の東電供給力合計は5729.2万kwとなっているが、これには広野火力(計380万kw)が含まれていない。単純加算すると6109.2万kwとなる。高野先生の7月末推定値より約100万kw少ない値となっている。
以上が比較の結果であるが、東電は次々上方修正しており、次第に私の推定、高野先生の推定に近づいているのが現状である。
一方で需要推定の方は、6000万kwはおろか5500万kwも非現実的な数字となりつつあると言っても良かろう。私の大胆推定では5100万から5000万そこそこ程度ではないかと思う。その辺は別途大胆(無責任?)推定を行っているので、お暇な方はお読みいただきたい。
(終わり)
2011年7月12日火曜日
2011年7月7日木曜日
東電需給計画の我流解釈の続編
5月20日に「東電需給計画の我流解釈」と題して、東電の電力供給計画を分析した後、7月1日になって新たな修正計画が発表された。正直東電に付き合うのはうんざりだが、前回のブログで大胆仮説を立て、謎解きを試みた以上、結論を知りたいと思うのが人情である。
と、思ってしぶしぶ分析を始めようと思ったのだが、案の定、やっぱり東電の情報は謎だらけでさっぱり分からん。僅か4行程度の説明で全てを理解せよって、どう考えても無理だろう。もっとも理解させたくないのが東電の本音だろうが。
新聞情報で補足出来るかとネットで検索して見たが、まったく役立たず。やむなく東電の記者会見を見ることにする。
結論から言うと新しい情報もあったが、さらに疑問が深まって、ますます頭がこんがらかるばかり。
最後の頼みの綱は前回の需給計画発表時(5月13日)の東電記者会見だけか。そこに何か情報はないだろうか。岩上安身さんのIWJホームページからこの記者会見のUstreamアーカイブを何とか見つけ出した。昔だったらこんなことは不可能だったろうが、岩上さんたちの努力によって、こうしてカット無しの記者会見が後で見られるのは掛け替えのない、貴重な宝だ。記者クラブメディアではこうは行かない。(また横道にそれた。)
さていい加減で分析に入るが、まずはこれまで東電が発表した供給力計画の数字を改めてまとめてみよう。⑤は今回(7月1日)の修正計画の数字である。前回同様プレスリリースは略してPRと表記する。
①3/24現在供給力 3650万kw
②3/25PR増強後 7月末 4650万kw(+1000万kw)
③4/15PR増強後 7月末 5200万kw(+550万kw)8月末 5070万kw(+1420万kw)
④5/13PR増強後 7月末 5520万kw(+320万kw)8月末 5620万kw(+550万kw)
⑤7/1PR修正後 7月末 5680万kw (+160万kw) 8月末 5560万kw(-60万kw)
合計増強分は7月末で2030万kw、8月末で1910万kwとなる。
①から④については前回のブログで説明してあるので、さっそく⑤の中身の説明に入ろう。
東電PRの需給の数字と修正部分の抜粋は次の通り。
参考5/13お知らせ
7月末 8月末 7月末 8月末
需要 5500 5500 5500 5500
供給力 5680 5560 5520 5620
予備力 180 60 20 120
<追加供給力(5月13日お知らせ以降の変更点)>
(1) 震災停止・定期点検等からの復帰【7月+220万kW】
広野火力1,2,4号機の復旧工程の前倒しを織り込み
(2) 自家発余剰の購入増 等【+40万kW】
(3) 電力融通の減【▲100万kW】
※揚水発電については、本見通しでは650万kWで織り込んでおります。需給が厳しい状況においては、その時点における上ダムの貯水量や需要動向をふまえ、揚水の発電量について詳細に精査したうえで反映することといたします。
供給力 最大電力
7/2~8 5120 4180
9~15 5350 5050
16~22 5610 5500
23~29 5670 5500
30~8/5 5680 5500
6~12 5650 5500
13~19 5660 5500
20~26 5590 5500
27~9/3 5550 5500
※最大電力は、各週の最大需要想定値、供給力は各週の平均値を記載
以上が東電PRの骨子である。
まずは供給力の説明の(1)から始めよう。
7月末の+220万kwは広野火力の1、2、4号機(各60万、60万、100万kw)の前倒し分だとしている。
前回5/13PRで8月末の純増分としていた220万kwを7月末分に繰り上げたわけである。前回ブログで220万kwの内訳はおそらく広野火力4号機と1、2、5号機(各60万kw)のうちの2機であろうと書いたのでこれは正しかったことが証明された。
7月末分の60万kwは、すでに6/15に前倒して復帰した広野火力第5号機(60万kw)であることも明らかになった。ただしこの復帰については私の知る限り、東電は発表しておらず、産経(6/16)だけがひっそりと明らかにしただけであった。前にも書いた通り、震災時に運転していた2、4号機以外の、定期検査中に被災した1、3、5号機については一切報道しないのが、東電のルール(?)だからか。広野火力の一部が震災後初めて復帰したというのはかなりのニュースだと思うのだが、きっと私の感覚がおかしいのであろう。
ここまでは問題なさそうであるが、さらに分からないのは前回ブログで大問題になった第3号機についてである。これは7/1の記者会見でも何も触れておらず、新聞にも載っていないので、お手上げで、推理小説の謎解きは迷宮入りかと思われた。
そこで最初に書いたように、最後の頼みと思い、5/13の記者会見を見てみようと思いついた。当時は仕事ならいざ知らず、趣味(?)で東電の記者会見など見たくもないし、どうせ大した追加情報はないであろうと思っていたのが災いした。やはり一銭にならないとしても中途半端はいけない。IWJのお陰をもってこれを見ることが出来たわけであるが、我慢して1時間以上見ていてついにある記者が3号機について質問した。がんばった甲斐があった。
聞いて驚いた。何と、私の大胆推理の通り、3号機分は3/25PRで発表した「震災による停止からの復旧 【760万kW】」に入っているというのである。さらに、そうだとしても、なぜ3号機だけをそこに入れたのか不思議であったが、それについても一応の答えがあった。「比較的被害が軽微であった広野3号機の100万kwを織り込むことを考えたが、広野は被災した福島原発第1に近いため作業が遅れることも考慮して代替の100万kwガスタービンも用意した。いずれにしろ100万kwを760万kwに含めたが、その後広野の復帰メドが付いたので、ガスタービンではなく、3号機分がここに含まれることになった。」というのである。
びっくりした。なんともあっさり謎解きが出来てしまったではないか。しかも正解とは。というより、最初からこの会見を見ていれば、前回のつまらないブログを書く必要もなかったかもしれない。まあ、ちょっとした推理を楽しめたんだからいいとするか。暇な人以外は読むなと断っておいて良かった。まじめに読んだ人がいたら、お叱りを受ける所であった。
さてついでに7/1記者会見で明らかにされた追加情報を列記すると、次の通り。
・広野火力 2号機(7月上旬再稼動)3、4号機(7月中旬再稼動) (1号機については7月中という以外述べていない。)
・横須賀火力 3号機(すでに再稼動)4号機(7月上旬再稼動)1、2号機は7月末までに再稼動。
・総能力の内訳 7月末 8月末
一般水力 310万kw 310万kw
揚水 650万 650万
火力 4240万 4310万
原子力 490万 250万
融通分 -10万 40万
計 5680万 5560万
・揚水 平均650万kw折込む。設備能力としては他社分も含めて1050万kwあるが、故障等で使えないものを除くと設備容量としては890万kw。ロードカーブ,水量の状況などから+100万程度(あるいは最大800万kwぐらいまで)は追加可能か。650万kwには電源開発の沼原発電所(栃木県。67.5万kw)と東電の塩原(90万kw)は含まれていない。
・火力の7月から8月の純増分70万kwは緊急ガスタービン増強による。他社では常磐共同火力の8号機(60万kw、東電シェア49.11%)が7月中旬に再稼動。
・原子力の7月から8月の減少分は柏崎刈羽1号機(8/6)、7号機(8/23)の定期点検入りによる。
・融通分7月末の内訳は柏崎刈羽1号機の東北電力権利分が-50万kw、北海道からの融通分が30万kw、北陸から10万kw、で計-10万kw。8月末は東北電分がなくなるので、+40万kw。
さらに今冬と来夏の供給力についても若干触れたので、紹介しよう。
・今冬 8月に定検に入る柏崎刈羽原子力発電所1号機、7号機が今冬までに再開できれば、安定供給可能。出来なければ厳しい。
・来夏 復旧工事中の相馬共同火力1,2号機(各100万kw、東電50%)と常磐共同火力7号機(25万kw、東電49.11%)が復旧工事中。千葉ガスタービンの追加も検討。川崎2-1号機、神流川2号(揚水)についても来夏までに間に合うよう工事を進めている。
次に(2)の自家発余剰の購入増 等【+40万kW】に移る。
自家発電についても7/1記者会見で追加情報の提供があった。現在全国の自家発電能力は6400万kwで、うち東電管内では1600万kw。これには共同火力、IPP、PPSを含み、これらで約半分を占める。自家発余剰買取分は今回の+40万kwを含み計160万kwになる。これは火力能力の内数。160万kwは現状では目一杯で、供給制限が掛かっている状況ではこれ以上は難しい。
(3)電力融通の減【▲100万kW】は浜岡原発停止で関西の60サイクル圏からの供給が見込めなくなったことによる。今回は乗せていないが、マックスの100万kwまで期待して交渉を続けるとのこと。
この他、東電は東北電力に最大140万kwの電力融通を行いたいとしているが、これはあくまでも東電自身の供給力に余裕があることが前提となることを強調している。
以上が今回7月1日に東電が発表した内容と同日の記者会見から供給力について触れた主要点である。
東電は今のところこの他には大きな供給力増強に繋がる計画はなく、今夏はこの能力で対応せざるをえないとの考えである。となると8月は東電の計画ではかなり供給逼迫ということになるが、私の見るところ、おそらく東電は揚水発電の沼原と塩原(既述。計160万kw弱。)を柏崎刈羽原発の減少分240万kw補填の隠し玉として考えているのであろう。
さらに今冬については「柏崎刈羽の1号機、7号機の再稼動が認められないとかなり厳しい状況となる。」と早くも危機を煽り、原発依存の必要性を強調している。
しかし節電、計画停電といって消費者を脅すということは、逆に言えば、供給義務を果たせないと白状したことを意味する。それならば、しっかり詳細データを開示して、説明の上、協力をお願いするのが筋ではないのか。情報を一手に握っていて、管理は全部お任せをでは完全にお上思想としか思えない。
いずれにせよ、今夏の供給問題の大きな鍵を握っているのが揚水発電であることは間違いない。揚水発電は貯水能力、実際の貯水量、流水量、天候、需要予測、夜間の余剰電力量予測、それらを総合して短期にマネージメントしていかなければならない。しかも今回ほど大規模に運用した経験はないはず。かなり高度な管理能力を要求される。したがってトータルした数字に余裕があるように見えても、上手くいくかどうかは東電がどれだけしっかりした管理体制を執れるかどうかに掛かっている。福島原発の管理状況を見ているとはなはだ心もとないが、原子力部門以外の東電の真価を発揮できる正念場でもある。しっかり頼みます。我々としては当面、これ以上の地震、津波、事故、故障、ミスが起きないことを祈るしかあるまい。
(おわり)
と、思ってしぶしぶ分析を始めようと思ったのだが、案の定、やっぱり東電の情報は謎だらけでさっぱり分からん。僅か4行程度の説明で全てを理解せよって、どう考えても無理だろう。もっとも理解させたくないのが東電の本音だろうが。
新聞情報で補足出来るかとネットで検索して見たが、まったく役立たず。やむなく東電の記者会見を見ることにする。
結論から言うと新しい情報もあったが、さらに疑問が深まって、ますます頭がこんがらかるばかり。
最後の頼みの綱は前回の需給計画発表時(5月13日)の東電記者会見だけか。そこに何か情報はないだろうか。岩上安身さんのIWJホームページからこの記者会見のUstreamアーカイブを何とか見つけ出した。昔だったらこんなことは不可能だったろうが、岩上さんたちの努力によって、こうしてカット無しの記者会見が後で見られるのは掛け替えのない、貴重な宝だ。記者クラブメディアではこうは行かない。(また横道にそれた。)
さていい加減で分析に入るが、まずはこれまで東電が発表した供給力計画の数字を改めてまとめてみよう。⑤は今回(7月1日)の修正計画の数字である。前回同様プレスリリースは略してPRと表記する。
①3/24現在供給力 3650万kw
②3/25PR増強後 7月末 4650万kw(+1000万kw)
③4/15PR増強後 7月末 5200万kw(+550万kw)8月末 5070万kw(+1420万kw)
④5/13PR増強後 7月末 5520万kw(+320万kw)8月末 5620万kw(+550万kw)
⑤7/1PR修正後 7月末 5680万kw (+160万kw) 8月末 5560万kw(-60万kw)
合計増強分は7月末で2030万kw、8月末で1910万kwとなる。
①から④については前回のブログで説明してあるので、さっそく⑤の中身の説明に入ろう。
東電PRの需給の数字と修正部分の抜粋は次の通り。
参考5/13お知らせ
7月末 8月末 7月末 8月末
需要 5500 5500 5500 5500
供給力 5680 5560 5520 5620
予備力 180 60 20 120
<追加供給力(5月13日お知らせ以降の変更点)>
(1) 震災停止・定期点検等からの復帰【7月+220万kW】
広野火力1,2,4号機の復旧工程の前倒しを織り込み
(2) 自家発余剰の購入増 等【+40万kW】
(3) 電力融通の減【▲100万kW】
※揚水発電については、本見通しでは650万kWで織り込んでおります。需給が厳しい状況においては、その時点における上ダムの貯水量や需要動向をふまえ、揚水の発電量について詳細に精査したうえで反映することといたします。
供給力 最大電力
7/2~8 5120 4180
9~15 5350 5050
16~22 5610 5500
23~29 5670 5500
30~8/5 5680 5500
6~12 5650 5500
13~19 5660 5500
20~26 5590 5500
27~9/3 5550 5500
※最大電力は、各週の最大需要想定値、供給力は各週の平均値を記載
以上が東電PRの骨子である。
まずは供給力の説明の(1)から始めよう。
7月末の+220万kwは広野火力の1、2、4号機(各60万、60万、100万kw)の前倒し分だとしている。
前回5/13PRで8月末の純増分としていた220万kwを7月末分に繰り上げたわけである。前回ブログで220万kwの内訳はおそらく広野火力4号機と1、2、5号機(各60万kw)のうちの2機であろうと書いたのでこれは正しかったことが証明された。
7月末分の60万kwは、すでに6/15に前倒して復帰した広野火力第5号機(60万kw)であることも明らかになった。ただしこの復帰については私の知る限り、東電は発表しておらず、産経(6/16)だけがひっそりと明らかにしただけであった。前にも書いた通り、震災時に運転していた2、4号機以外の、定期検査中に被災した1、3、5号機については一切報道しないのが、東電のルール(?)だからか。広野火力の一部が震災後初めて復帰したというのはかなりのニュースだと思うのだが、きっと私の感覚がおかしいのであろう。
ここまでは問題なさそうであるが、さらに分からないのは前回ブログで大問題になった第3号機についてである。これは7/1の記者会見でも何も触れておらず、新聞にも載っていないので、お手上げで、推理小説の謎解きは迷宮入りかと思われた。
そこで最初に書いたように、最後の頼みと思い、5/13の記者会見を見てみようと思いついた。当時は仕事ならいざ知らず、趣味(?)で東電の記者会見など見たくもないし、どうせ大した追加情報はないであろうと思っていたのが災いした。やはり一銭にならないとしても中途半端はいけない。IWJのお陰をもってこれを見ることが出来たわけであるが、我慢して1時間以上見ていてついにある記者が3号機について質問した。がんばった甲斐があった。
聞いて驚いた。何と、私の大胆推理の通り、3号機分は3/25PRで発表した「震災による停止からの復旧 【760万kW】」に入っているというのである。さらに、そうだとしても、なぜ3号機だけをそこに入れたのか不思議であったが、それについても一応の答えがあった。「比較的被害が軽微であった広野3号機の100万kwを織り込むことを考えたが、広野は被災した福島原発第1に近いため作業が遅れることも考慮して代替の100万kwガスタービンも用意した。いずれにしろ100万kwを760万kwに含めたが、その後広野の復帰メドが付いたので、ガスタービンではなく、3号機分がここに含まれることになった。」というのである。
びっくりした。なんともあっさり謎解きが出来てしまったではないか。しかも正解とは。というより、最初からこの会見を見ていれば、前回のつまらないブログを書く必要もなかったかもしれない。まあ、ちょっとした推理を楽しめたんだからいいとするか。暇な人以外は読むなと断っておいて良かった。まじめに読んだ人がいたら、お叱りを受ける所であった。
さてついでに7/1記者会見で明らかにされた追加情報を列記すると、次の通り。
・広野火力 2号機(7月上旬再稼動)3、4号機(7月中旬再稼動) (1号機については7月中という以外述べていない。)
・横須賀火力 3号機(すでに再稼動)4号機(7月上旬再稼動)1、2号機は7月末までに再稼動。
・総能力の内訳 7月末 8月末
一般水力 310万kw 310万kw
揚水 650万 650万
火力 4240万 4310万
原子力 490万 250万
融通分 -10万 40万
計 5680万 5560万
・揚水 平均650万kw折込む。設備能力としては他社分も含めて1050万kwあるが、故障等で使えないものを除くと設備容量としては890万kw。ロードカーブ,水量の状況などから+100万程度(あるいは最大800万kwぐらいまで)は追加可能か。650万kwには電源開発の沼原発電所(栃木県。67.5万kw)と東電の塩原(90万kw)は含まれていない。
・火力の7月から8月の純増分70万kwは緊急ガスタービン増強による。他社では常磐共同火力の8号機(60万kw、東電シェア49.11%)が7月中旬に再稼動。
・原子力の7月から8月の減少分は柏崎刈羽1号機(8/6)、7号機(8/23)の定期点検入りによる。
・融通分7月末の内訳は柏崎刈羽1号機の東北電力権利分が-50万kw、北海道からの融通分が30万kw、北陸から10万kw、で計-10万kw。8月末は東北電分がなくなるので、+40万kw。
さらに今冬と来夏の供給力についても若干触れたので、紹介しよう。
・今冬 8月に定検に入る柏崎刈羽原子力発電所1号機、7号機が今冬までに再開できれば、安定供給可能。出来なければ厳しい。
・来夏 復旧工事中の相馬共同火力1,2号機(各100万kw、東電50%)と常磐共同火力7号機(25万kw、東電49.11%)が復旧工事中。千葉ガスタービンの追加も検討。川崎2-1号機、神流川2号(揚水)についても来夏までに間に合うよう工事を進めている。
次に(2)の自家発余剰の購入増 等【+40万kW】に移る。
自家発電についても7/1記者会見で追加情報の提供があった。現在全国の自家発電能力は6400万kwで、うち東電管内では1600万kw。これには共同火力、IPP、PPSを含み、これらで約半分を占める。自家発余剰買取分は今回の+40万kwを含み計160万kwになる。これは火力能力の内数。160万kwは現状では目一杯で、供給制限が掛かっている状況ではこれ以上は難しい。
(3)電力融通の減【▲100万kW】は浜岡原発停止で関西の60サイクル圏からの供給が見込めなくなったことによる。今回は乗せていないが、マックスの100万kwまで期待して交渉を続けるとのこと。
この他、東電は東北電力に最大140万kwの電力融通を行いたいとしているが、これはあくまでも東電自身の供給力に余裕があることが前提となることを強調している。
以上が今回7月1日に東電が発表した内容と同日の記者会見から供給力について触れた主要点である。
東電は今のところこの他には大きな供給力増強に繋がる計画はなく、今夏はこの能力で対応せざるをえないとの考えである。となると8月は東電の計画ではかなり供給逼迫ということになるが、私の見るところ、おそらく東電は揚水発電の沼原と塩原(既述。計160万kw弱。)を柏崎刈羽原発の減少分240万kw補填の隠し玉として考えているのであろう。
さらに今冬については「柏崎刈羽の1号機、7号機の再稼動が認められないとかなり厳しい状況となる。」と早くも危機を煽り、原発依存の必要性を強調している。
しかし節電、計画停電といって消費者を脅すということは、逆に言えば、供給義務を果たせないと白状したことを意味する。それならば、しっかり詳細データを開示して、説明の上、協力をお願いするのが筋ではないのか。情報を一手に握っていて、管理は全部お任せをでは完全にお上思想としか思えない。
いずれにせよ、今夏の供給問題の大きな鍵を握っているのが揚水発電であることは間違いない。揚水発電は貯水能力、実際の貯水量、流水量、天候、需要予測、夜間の余剰電力量予測、それらを総合して短期にマネージメントしていかなければならない。しかも今回ほど大規模に運用した経験はないはず。かなり高度な管理能力を要求される。したがってトータルした数字に余裕があるように見えても、上手くいくかどうかは東電がどれだけしっかりした管理体制を執れるかどうかに掛かっている。福島原発の管理状況を見ているとはなはだ心もとないが、原子力部門以外の東電の真価を発揮できる正念場でもある。しっかり頼みます。我々としては当面、これ以上の地震、津波、事故、故障、ミスが起きないことを祈るしかあるまい。
(おわり)
2011年6月25日土曜日
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